こんにちは!ミントの介護ブログ運営者のミントです。
今回は、4年前に他界した父の葬儀のお話をしたいと思います。
沖縄生まれの父は昔から「わしが死んだら海に遺骨を撒いてくれ」と言っていました。
「葬式は無宗教でやってくれ。坊さんも墓もいらない。」とも。
形式にとらわれることを嫌う、ロマンチストな父らしい望みです。
最近は無宗教葬儀もだんだんと増えてきていると耳にしますが、私自身、無宗教の葬儀は初体験でした。
「父の葬儀を無宗教であげました」と人に話すと、
「どんな流れで行うの?」「お墓はどうなるの?」「・・・費用はいくらくらいかかった?」
など、興味津々な様子で質問が来ます。
そこで今回の記事では、父の無宗教葬儀にかかった費用と通夜から散骨までの流れを全て公開します。
そして初めての無宗教葬儀で私自身がどう感じたのかも、合わせてお伝えしたいと思います。
無宗教で行う通夜や葬儀、散骨に関心がある方の参考になれば幸いです。
目次
無宗教で葬儀を行う葬儀社を決めた。
父が病院で検査を受けた時には、すでに肝臓に4個も5個もがんが発生していました。
即入院になりましたが、日に日に目に見えて弱っていき、それは痛々しいほどでした。
しかし親族はただ悲しんでいるだけというわけには行きません。
『父の葬儀は無宗教葬儀にしよう。遺骨は海に撒こう。』
ーということは母も妹(私は二人姉妹の姉です)も了解していました。
ですので、どこの葬儀社で上げて、どのような流れで行うようになるのか?
せめてその概略程度は決めておかないと、初めて出す葬儀が初体験の「無宗教葬儀」となると、さすがに不安です。
そこでインターネットで調べてみました。
すると、自宅のすぐ近くにある会館でも無宗教葬儀や海への散骨も行っていることがわかりました。
しかも私の義父や妹の義父の葬儀も同じ葬儀社で頼んだので安心感があり、さっそく話を聞きに行きました。
とても清潔感のある館内で、受付の方から葬儀の流れや費用についての丁寧な説明を受け、パンフレットをいただいて帰りました。
そして母と妹に相談した結果、その葬儀社で頼むことに決めました。
父が他界。無宗教葬儀に向かって準備を進める。
入院して2週間が過ぎた2014年3月28日午後4時55分。父は亡くなりました。
医師が臨終を告げてから安置室には2時間までしか置いてもらえません。
すぐに葬儀社に連絡を取りました。
自宅へ帰りたがっていたけれど、入院後とうとう一度も帰宅できなかった父のために通夜は自宅で行うことに。
2時間後には葬儀社の車が来て、父の遺体は自宅へと運ばれます。
病院には母と夫と息子が待機し、私と娘は家へ戻って父の部屋を大急ぎで片づけ、父を迎え入れる準備を整えました。
ほどなく父を乗せた寝台車が到着しました。
項目 | 費用 |
病院から自宅への寝台車料金 | 基本セット料金に含まれる |
無宗教で行う通夜はしみじみと和やかでした。
亡くなった当日は自宅に父を安置し、翌日は通夜となりました。
項目 | 費用 |
自宅での安置中に使用した、ドライアイス(追加分) | 4,000円 |
自宅での安置中に使用した、高分子吸水シーツ | 6,000円 |
父は高齢だったので交友関係も少なくなっており、身内だけのささやかな通夜です。
出席者は、母、私の妹夫婦、母の弟夫婦、そして私と夫、娘、息子の9人。
無宗教での通夜なので、祭壇などは必要ありません。
いつも父が寝ていた6畳の部屋に布団を敷いて父を横たえ、父の好きな曲を流し、昔のアルバムを広げ、父の描いた絵も飾りました。
父の顔を見ながらあれこれ昔話をし、ピザやお寿司を食べてワインやビールを飲んで、楽しいひと時でした。
19時ごろに始まった通夜は22時ごろまで続きました。
私が今までに経験したことのある通夜とは全然違うけれど、まるで皆で一枚の絵を描いているような、とても思い出深い夜になりました。
無宗教葬儀の当日。
一夜明けて、いよいよ無宗教による葬儀当日です。
朝、父を迎えに葬儀社の車が来ました。
項目 | 費用 |
自宅から会館への寝台車 | 20,000円 |
(※自宅で通夜を行ったため、自宅から会館へ向かうための寝台車は追加料金になりました)
葬儀に出席する私たちも、我が家のワゴン車で会館へと向かいました。
葬儀の出席者は通夜よりも更に少なく、母(喪主)、私たち夫婦と息子、娘、妹夫婦の7人になります。
無宗教葬儀。まずは湯灌(ゆかん)から
湯灌とは、故人を棺に納める前に、お湯で綺麗に洗い清めることを言います。
いわば最後の入浴ですね。
病院では臨終の後に看護師さんによって綺麗に体を清拭してもらっているので、湯灌は絶対必要というものではありません。
ただ、義父が亡くなった時に湯灌をしてもらっていたのが、私にはとても気持ちよさそうに見えたので、父にも湯灌をお願いしました。
項目 | 費用 |
湯灌サービス | 60,000円 |
担当の方が父の頭をシャンプーしながら「痒いところは無いですかー?」と冗談を言われたのが私にはツボで、笑ってしまいました。
お葬式でそんな冗談は不謹慎と思われる人もいるかも知れません。
しかし、この時の雰囲気は本当に和やかで、冗談がちっとも不謹慎に感じられませんでした。
そういった空気を読むのもやはり「プロなんだなぁ」と思いまいした。
その後、父は仏衣(死装束)を着せていただき、白足袋とわらじを履いて、納棺されました。
(※納棺時の衣装は自由に決めることができます)
無宗教葬儀の告別式。
さて、祭壇に父の棺桶が安置され、告別式が始まります。
項目 | 費用 |
基本セット料金 | 400,000円 |
樒(しきみ) | 0円 |
供花・供物 | 60,000円 |
祭壇の前に椅子が並べられ、私たちはそこに着席し、葬儀社の進行係の方がお話を始めました。
私が今まで経験した一般的な葬儀では、ここでお坊さんがお経を上げるシーンです。
無宗教の葬儀だと、この場面で何を話すのだろう?どうやって間を持たせるのだろう?と、私は少し不思議に思っていました。
しかし、進行係の方のお話はすばらしいものでした。
葬儀社の進行係の方のお話。
〇〇〇〇(父の名前)さんは昭和6年8月15日に沖縄でお生まれになりました・・・
という所から話が始まり、戦時中の苦労、沖縄から本土に命からがら戻ってきた話、母との出会い・・・
時折り母に語り掛けながら、とても上手にお話を進めていきます。
「日本が高度経済成長の時代にお子さんを育てられたんですね。お母さんは専業主婦だったんですか?」
母「いえ、私もずっと働いて、子供を育てたわ」
「そうですか。それは苦労されたんですね。お父さんはどんな方でしたか?」
母「まじめで、お酒は一滴も飲まない人やった。子供をすごく可愛がって・・・」
思い出話を上手に母に語らせてくれるので、私たちも当時を思い出してほっこりしたり、ホロリとしたり。
お坊さんの読経は無かったけれど、父と過ごした年月をたくさん思い出すことが出来た、すばらしい告別式でした。
無宗教葬儀。最後のお別れ
いよいよお別れの時です。
父の棺桶には孫(私の娘)からプレゼントされた手編みのマフラーとお気に入りの眼鏡を入れました。
父の大好きな花をたくさん顔の周りに入れてあげました。
写真撮影も自由なので、父の最後の顔を記念に撮りました。
無宗教葬儀。出棺の時
父の棺桶は寝台車に乗せられて斎場(火葬場)へ向けて出発します。
項目 | 費用 |
会館から斎場への寝台車料金 | セット料金に含まれる |
私たちは家のワゴン車に乗ってその後に付きました。
この日は強い雨だったのに出棺の時には晴れ渡り、清々しい空でした。
お坊さん無しの出棺でしたが、まるで父の心が喜んでいるように思えました。
しかも父の葬儀があったのは2014年3月30日。なんと4月1日には消費税が5%から8%に引き上げられる日だったのです。
「これはありがたい!」と、斎場へ向かう車の中、皆で言い合ったのでした。
無宗教葬儀。斎場にて
車は無事斎場に到着し、父の遺体は火葬炉へ入れられます。
項目 | 費用 |
火葬料金 | 12,000円 |
骨上げまでの1時間半ほどの間、私たち親族は控室で食事をしながら待つこととなります。
項目 | 費用 |
火葬場控室使用料 | 3,000円 |
幕の内会席7人前 | 20,000円 |
控室ではテレビで野球中継をやっていました。
私たちは美味しいお料理を食べながらのんびりと過ごしました。
その後骨上げを行います。
この辺りは無宗教でも通常と変わりありません。
「ここが喉仏です」などと説明を受けながらお骨を拾います。
その後、車で再び会館に戻り、骨壺に収められたお骨を受け取って帰宅しました。
散骨の日までお骨は実家で保管することとなります。
無宗教葬儀その後。父の遺言発見!
葬儀も終わり、ほっと一息つきながら父の部屋を整理していたら、なんと本の間から父の字で「葬儀について」と書かれた封書が出てきました。
封を開けると、そこには「無宗教で葬儀を上げてほしい。戒名は自分でつけたいが、間に合わなかった場合はまかせるので、自分らしい戒名にしてね」という趣旨の遺言が。
日付は2004年になっていたので、亡くなる10年前に用意していたことになります。
「それなら、戒名は私がつけるわ」
父に可愛がられていた、私の娘が名乗り出ました。
親族のつけた戒名は故人に最もふさわしいものに。
戒名のつけ方について書かれた本やネットを参考にして、娘が考えた戒名は、
『碧海庵華詠賢徳正信士』
項目 | 費用 |
戒名 | 0円 |
碧(あお)い海の庵で華の歌を詠む、賢く徳のある人・・・という意味を込めたそうです。
沖縄生まれで、海と花を愛し、俳句を詠むのが趣味だった父にぴったりな戒名です。
私はそれまで戒名を一般人がつけることが出来るとは知りませんでした。
お坊さんにつけていただく立派な戒名も良いですが、故人を一番良く知っている親族がつけた戒名も良いものだなと感じました。
父の戒名は私が作った手作りの祭壇に、父の遺影と一緒に今も飾られています。
無宗教葬儀その後。散骨の儀
さて、葬儀のあと私に残された仕事は散骨の儀です。
海への散骨の際、親族が船に乗り込むことも可能ですが、私は「散骨代行」というサービスを利用しました。
項目 | 費用 |
散骨代行 (散骨証明書、フォトスタンド、遺骨パウダー化作業料等含む) |
70,000円 |
散骨代行を頼む場合、3家族の申し込みがまとまってからの散骨となります。
葬儀から約3か月が過ぎたある日、散骨の日取りが決定したとの連絡を受けました。
お骨はそのままの状態で撒くわけにはいかないので、お骨をパウダー化してもらうため、葬儀社の方に手渡しました。
そしていよいよ散骨当日。私は一人で西宮のヨットハーバーへ向かいました。
スタッフの方にお花を渡し、船を見送ります。
そして代行による散骨の様子は写真に収められ、記念のフォトスタンドとともに受け取りました。
その際、小さな袋にほんの少し、お骨パウダーを分けていただき、持ち帰りました。
父の無宗教葬儀から一年後。
父の無宗教葬儀から一年後の春、母と私達姉妹の3人で沖縄旅行に行きました。
父の故郷の沖縄の海へ、父の遺骨を撒いてあげたかったのです。
粉薬ほどのほんの少しのお骨パウダーを、エメラルドの海へと撒きました。
これで父の無宗教葬儀にまつわるお話は終了です。
私は、父のお墓は海だと思っています。
地球上の海は全てつながっていますよね。
海へ行って手を合わせるといつでもお墓参りができるなんて、素敵だと思いませんか?
通夜から散骨までにかかった全費用。
最後に、父の無宗教葬儀の通夜から散骨までにかかった費用を下の表にまとめました。
これが高いか安いかは人によって価値観が違うので何とも言えません。
あくまでも一つの例としてご覧いただければと思います。
通夜から葬儀まで(税別)
もう少し安くしようと思えば祭壇をもっと質素なものにしたり、湯灌サービスをはぶくこともできます。
逆にもっと豪華にすることももちろん可能です。
項目 | 費用 |
基本セット料金 | 400,000 |
ドライアイス(追加分) | 4,000 |
湯灌サービス | 60,000 |
寝台車料金(追加) | 20,000 |
高分子吸水シーツ | 6,000 |
幕の内会席7人分 | 20,000 |
火葬場控室使用料 | 3,000 |
火葬料金 | 12,000 |
供花・供物 | 60,000 |
TOTAL | 585,000円 |
散骨の儀(税別)
散骨は個人で出航することもできます。
当然、費用はもっとかかりますが。
私は散骨代行を頼んだので、この葬儀社の散骨サービスでは最もリーズナブルなプランでした。
項目 | 費用 |
散骨代行 (散骨証明書、フォトスタンド、遺骨パウダー化作業料等含む) |
70,000円 |
おわりに。
父の無宗教葬儀。通夜から散骨までの流れを改めて振り返ると、無宗教という形式を選んだのは正解だったと思います。
何より父という人間の個性にピッタリでした。
しかしこの形式がどんな人にもうまくいくとは限りません。
散骨の時、一緒になった60代くらいの女性はご主人を亡くしたのですが、故人は散骨を望んでいたものの親戚の人たちに反対され、大変つらい思いをしているとのことでした。
その方は親戚と縁を切ることも覚悟の上で散骨に来たとおっしゃっていました。
無宗教葬儀や散骨は故人や家族の宗教観に大きく関わるので、簡単には出来ない場合が多いと思います。
しかし私自身は、自分が旅立つ時には父と同じように無宗教葬儀で、遺骨は海に撒いてもらえると嬉しいなと思っています。
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