こんにちは!ミントの介護ブログ運営者のミントです。
前回の記事では、ホテルでバリアフリーの部屋を申し込んだのに段差があり、しかも対応がひどかったという話を書きました。
▼めちゃひどかったホテルの話はこちら。
しかし、すばらしい対応をしてくれたホテルももちろんあります。
そこで今回は、母を連れて行った沖縄旅行で宿泊したホテルでの、感動エピソードを紹介しましょう。
目次
【ホテルで感動体験!】父の故郷、沖縄へ車椅子旅行。
4年前に他界した父は沖縄生まれで、自分が死んだら遺骨は海に撒いてほしいと望んでいました。
散骨は「散骨代行」というサービスを頼んで、兵庫県西宮市にある港沖に散骨してもらったのですが、その際に粉薬ほどのわずかな量の遺骨パウダー(散骨のため遺骨は業者によってパウダー化されます)を受け取っていました。
そして、父が亡くなって一年後の春、私と妹と母の三人は父の故郷である沖縄の海にその遺骨を撒くために、沖縄旅行へと出かけたのです。
母は身体障がい2級。足が悪くて車椅子生活です。
当時は今より少し足の状態が良かったので室内は多少段差があっても構わなかったのですが、ホテル内は全て車椅子で移動できるという条件で、旅行社にツアーを組んでもらいました。
【ホテルで感動体験!】沖縄到着。観光を楽しんだ後は大浴場へ!
その日の沖縄は残念なことに曇り空でした。
沖縄では南国のキラキラした海に感動したという話をたくさん聞いていただけにちょっとがっかり。
しかしとても親切なタクシー運転手さんの案内で沖縄そばを食べに行ったり、パイナップルパークで観光したりと楽しく過ごし、夕方にはホテルにチェックインしました。
そしてその夜・・・
妹は少し風邪気味でお風呂はやめとくと言うので、私は母の車椅子を押して広いホテル内を散策しながら地下一階にある大浴場に向かいました。
地下一階までエレベーターを使って降りると案内図があり、大浴場の位置を確認することができました。
かなり広いホテルだったので屋内プール脇の廊下を車椅子を押して延々と歩き、レストランやバーのある前を通り過ぎると、やっと大浴場入り口・・・
のはずが!!
そこにあったのは、更に地下へと続く急な階段。
めざす大浴場は、その階段の下にありました。
【ホテルで感動体験!】エレベーターはどこだ?
ツアーを申し込んだ旅行社の話では、ホテル内は全て車椅子で移動できるはずです。
まずは元来た道を戻って大浴場へ降りるエレベーターを探しました。
しかしどこにもエレベーターが見当たりません。
仕方なくまた階段のところまで戻り、階段の手前にあったバーのドアを開けて、マスターに尋ねてみました。
私「すみません。下の大浴場へ行くエレベーターはどこでしょう?」
マスター「下へは階段しかないですよ・・・」
ええっ!!話が違うやん~(;;)
私は部屋のシャワーでも構わないのですが、母はお風呂を楽しみにしていたので本当に残念そう。
しかしマスターに言っても仕方ないし、ホテルの責任でもないし、ここは諦めるしか道が無さそうです。
車椅子をUターンさせようとした私に、マスターが、
「ちょっと待ってください。」
と声を掛けました。どうやらホテルのスタッフに電話を掛けてくれているようです。
【ホテルで感動体験!】なんか大騒ぎになってきた。
しばらくすると、若い男性スタッフと女性スタッフがやって来ました。
そして次は大浴場の男性スタッフが階段を上がってきました。
私「えっ、どうするんですか?」
大浴場のスタッフ「僕らで車椅子を持ち上げるので大丈夫ですよ」
ホテル側には何の責任も無いのにそんなことまでしてもらっていいの?
と思いましたが、既に母を車椅子ごと持ち上げています。
しかし階段の幅が狭くて、車椅子を運んで通れそうにありません。
すると、ホテルの男性スタッフが
「僕がお母さんをおんぶして、大浴場へ行きます。」
と、言ってくれました。
【ホテルで感動体験!】スタッフが母をおぶって大浴場へ
母はホテルスタッフにおんぶしてもらって階段を降り、無事入浴することができました。
お風呂から上がったあとも、スタッフが母をおぶって今度は階段を上ってくれました。
母の車椅子は女性スタッフが大浴場の更衣室まで運んでくれて、入浴後も階段を上って運んでもらえました。
車椅子って意外と重いんですよ。そして母も小さい割に重いです(^^;)
私は手荷物しか持っていないのに、本当に申し訳ない気持ちと、それ以上に人の優しさに触れた感動で心は満たされました。
母はホテルスタッフの若い男の子におんぶしてもらって、ニコニコと上機嫌です。
「エレベーターが無いなんて、話が違うじゃないか!」
という当初の怒りはすっかりどこかへ消え失せていました。
バリアフリーは完璧じゃなかったけれど、それを補って余りあるスタッフの温かい心遣い。
本当に素敵な感動体験ができたことに、今も感謝の気持ちでいっぱいです。
バリアフリー設備よりも百倍たいせつなものとは?
毎日車椅子を押していると、エレベーターやスロープが無くて困ったり、多目的トイレ(身障者用トイレ)が少なすぎて困ることなど、いろんな場面に行き当たります。
そんな時にいつも思い出す話があります。
もう20年以上前の話ですが、友人がニューヨークへ旅行した際に、車椅子の人がバス乗り場に並んでいたそうです。
当時はバスのスロープもまだ無かったので「どうやってバスに乗るんだろう?」と不思議に思っていたら、周りの数人が車椅子をサッと持ち上げてバスに乗せたそうです。
日本ではまだ車椅子で外出する人などほとんど見かけなかった時代です。
介助した人もされた人も当たり前のようにふるまっていた、その光景に感動したと友人は語ってくれました。
例えバリアフリーが完璧に整っていなくても、助ける人の心があれば障がい者の生活はもっともっと楽なものになるのではないでしょうか?
沖縄のホテルでの感動的な体験で私が学んだのは、バリアフリー設備を整えることも大切だけれど、心の垣根を無くすことはその百倍大切なんだということです。
おわりに。
沖縄旅行は二泊三日の旅でした。
一日目、二日目は曇り空でしたが、最終日はお天気に恵まれ、エメラルドに輝く海へ父の遺骨を撒くことが出来ました。
故郷の海へ帰ることができて、きっと父も喜んでいることと思います。
さて、最近の母は、去年の夏に入院して少し体重が落ちたものの奇跡の復活をとげ、またどこかへ行きたくてたまらない様子。
「今年は北海道に行きたい!」
などとたわけたことを申しておりますが、
「死ぬまでに行きたい!」
とまで言われると無視するわけにもいかず・・・
近いうちに、「北海道車椅子の旅」なんていう記事を書くことになるかもしれませんね^^
では、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
▼今回とは対照的!ひどい対応だったホテルの記事はこちら。
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